独創的な嘘つきなどいない
たとえばメールの返信をうっかり失念してしまったときは「スパムメールに入ってしまった」、遅刻をしたら「道が混んでいて」……。よくある本当の理由でありつつ、よく使われる嘘でもある。
嘘についての研究で、パメラ・メイヤー氏はこんなことを言っている。
「研究によると私たちは毎日10回から200回嘘をつかれています。嘘の多くは罪のないものです。別の研究では、初めて会う人同士は最初の10分で3回嘘をつくという結果も出ています」
誰でも、嘘のひとつやふたつはついたことはあるだろう。人に言えないことや、あるいはすでに覚えてすらいないこともあるかもしれない。どこまでを“嘘”ととらえるかにもよるが、気持ちを隠す、平静を装うなども含めると、前述のようなデータもあるようだ。これこそ「うそだ」と言いたくなるようなデータながら、特に初対面同士では、眉に唾をつけて心してかかることも必要かもしれない。
人が嘘をつくのは、いったいどんなときだろう?
多くは自分の身を守るため。日常的には、遅刻をした、物をなくした、など些細なことで咎めを受けるのを避けたいときだ。浮気をしてしまったけれど、あくまでも隠し通すほうが彼女のため、家族に病気を知らせたくない……など、大切な人を傷つけたくないときもあるだろう。今をやりすごせば、もしかしたら事態は好転しそうだ……など、現実を受け入れきれないときもあるかもしれない。誰かをだまそうというよりも、何かしら大義のためにしていることも多そうだ。
嘘の傾向をまとめてみると、私たちは職場の同僚より見知らぬ人により嘘をつき、 外向型の人は内向型の人よりもより嘘をつく傾向が高いという。男性は他人のことより自分のことについて8倍嘘をつき、女性は他の人を守るためにより嘘をつく傾向にある。平均的な夫婦なら10回の会話で1回は嘘をつき、 独身なら3回に1回と増えるそうだ。
パメラ・メイヤー氏は「独創的な嘘つきはいません」と言う。実は、嘘をつくときには誰もが同じようなテクニックを使ってしまうのである。つまり、その所作を知れば、嘘は簡単に見抜けることになる。まずは、嘘のパターンを見てみよう。