優秀なリーダーが予測する、「曲がり角の先」

もし、自分で自分を優秀なリーダーに育て上げるとしたら、何をしたらいいだろうか。かつての海軍大将・山本五十六の言葉に、こんなものがある。

「やって見せ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かず。
話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。
やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず」

これは人を育てるために理想的な姿ながら、人格をもかなり必要としそうだ。こうしたかつてのリーダーに学ぶこともひとつだろう。けれども、私たちの生活は以前に比べてグローバルかつデジタル化され、個人情報も透明化されてきた。さらに情報の流れや技術革新のスピードも速く、何をするにも多様性に富んだ対応が必要になっている。昔ながらの精神論も大切ながら、今はさらに具体的で明確なヴィジョンが必要になりそうだ。

ロザリンデ・トーレスは、優秀なリーダーになるための“3つの問い”を提示している。ひとつ目は「どこを見てビジネスモデルや人生にきたる変化を予想しているか」を考えること。自らのビジネスモデルや生活の変化を見るためには「スケジュール表にそのヒントがある」としている。

たとえば、一緒に時間を過ごす相手、話の内容、旅の行き先、読んでいる本……など、自分の行動の傾向や変化を考えてみる。そして、その情報を周りとシェアすることだ。身近なことから世の中の変化の兆しを察知して、今すぐに行動を起こすための準備が必要になる。現状に対応するばかりでなく、自ら将来を形づくっていくために「優秀なリーダーは下ばかりを見ず、常に曲がり角の先を予測する」というわけだ。

以前、この連載でも紹介したハフィントンポストの共同設立者で編集長のアリーナ・ハフィントンが、「有能なリーダーというのは、タイタニック号が沈没するときに指揮をできる人物ではなく、ぶつかる前に氷山を見つける力を持つ人物だ」と言っていた。情報収集と併せ、直観的に周りの変化をすばやくとらえて、曲がり角の先にある氷山をあらかじめ見通す力をつけていきたい。

さて、ふたつ目の問いは「どうやって自分のプライベートや仕事上の人脈を多様化させているか」だ。