上半身は動かさず目線もそらさない

嘘をついている人は、そわそわするとされる。その場を逃げ出したいから自然と体が動いてしまうからだ。ところが、実は嘘をついているときには上半身をあまり動かさないまま、上半身とは逆に足は相手からそれて、出口に向かっていることも多い。そして、目を見ないと思われているがために、むしろそれを逆手にとって余計に長く目を見つめる行為に出る。そのわりに、ふと目をふせるぎこちない動きはあるようだ。

隠せないのは落ち着きのない指先の動き、それから言葉と身振りの不一致だ。肯定しているのに、自然と首をよこに降ってしまうなど、無意識に本心が現れるため、行動と言葉が一致しない。そして、笑顔で口角はあがっているのに、目じりにシワができにくいという“目が笑っていない”状態になる。こうして、話されている言葉としぐさの不一致を見つけることで嘘を見抜きやすくなる。

さらに、嘘だろうと疑っている人と話すときには、相手も用心をする。たとえば嘘つきはまばたきの回数を変えるという。回数が多くなるとは限らず、じっと見開くこともある。話の聞き手との間に物をおいて垣根をつくりたがり、声のトーンを変えて低い声を出そうとする。よく見ていると「あれ?」と感じられる動きをまとめると、こうだ。

・言っていることと行動が一致しない。
・笑っていても、目じりのシワが出にくい。
・まばたきの様子が普段と違う。
・相手との間にバッグなどで垣根をつくりたがる。
・声のトーンが低くなる。

これらは単にしぐさにすぎず、嘘の証拠ではない。ただ、いくつもあったら注意が必要だというにすぎない。それでも、部下のウソ、パートナーの言い訳など、見抜きたいときにはおおいに役に立ちそうだ。

最後に、相手の嘘を見破り真実を聞き出したいときに必要なのは……、攻撃的にならずじっくり聞くこと。取り乱したりしてはいけない。よく見聞きして、探って、少し難しい質問を投げて相手を考えさせること。そのためには、ゆったりとくつろいだ雰囲気をつくり出し、相手の心を解きほぐし、興味を惹かれた感じであれこれ聞いていくことだ。これで、前述のような言動を誘い、本音や隠れていた真実を導き出しやすくなる。

今は、ブログやSNSですべてを公開しているがために、むしろ真実が見えにくいと感じる方もいるだろう。取引先、仕事相手、異業種交流会で出会った人……。多くの人にプライベートも筒抜けであるがゆえに、逆にリアルなのか虚構なのかわからなくなる。表面的な付き合いでは、嘘か真か知らないままでいいのかもしれない。

いざ深くかかわっていくときには、真実を見抜く力だけは持ち合わせたい。そして矛盾するものの、自分がパートナーなどをごまかすときだけは、嘘と見抜かれないように細心の注意を払いたい。

言動の一致や指先の動きに気を付けて、それから余計なことを説明しすぎずに。

[脚注・参考資料]
Pamela Meyer, How to spot a liar, TED Global 2011, Filmed Jul 201
http://www.ted.com/talks/pamela_meyer_how_to_spot_a_liar

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