危機と挫折の経験で読み方が変化する本

『失敗の本質』を「経営に活かしている」と言えるようになったのは、この10年のこと。2005年にヤマト運輸に移るまで、私は銀行員として働き、その中で数多くの失敗を経験してきた。ヤマトグループの経営に関わる際、「これまでの失敗から何を学ぶべきか」を整理しようと本書を改めて読み直した。失敗の経験をしていると、本書から多くの気付きを得られる。いまでも読むたびにマーカーや付箋が増えている。

(右)ヤマトホールディングス会長 木川 眞氏(左)『失敗の本質』

最初に手に取ったのは20年ほど前だ。バブル崩壊後の「平成不況」で、「失敗」が気になって手に取った。その後自身が救済策を検討していた大手企業の経営破綻で大きな挫折を感じ、また自身の銀行も経営危機に見舞われたことで、「失敗」について深く考えるようになった。