感情の切り替えスイッチで、「自分激変」

人は、同時に前向きのことと後ろ向きのことを考えることはできません。そして、人間である以上、後ろ向きに考えないというのは難しいものです。そうであれば、後ろ向きの感情が起こったときにそれを、いかに早く終わらせるかということが大切なのです。そのための自分のアイデアが輪ゴムでした。

私の人生の師匠は禅寺のお坊さんでした。修行を積んだお坊さんは感情の起伏がないというわけではなく、むしろ感情はとても豊かで、ときに厳しく叱ることもありました。ただ、凡人と異なるのは、すぐに元の穏やかな表情に戻られることです。修行により、感情の切り替えができるのです。

「ぱちん」と弾くとちょっと痛い輪ゴムは、当時、私にとって感情を断ち切るプチ修行となったのです。

さらには、前向きというのは、起きていることを素直に受け入れることが大前提だと思います。

起こったこと、過去のことは変えられません。それを批判的に考えずに、素直に受け入れれば、対処するための良い知恵も浮かんできます。否定的に考えていては、良い知恵どころか、心も暗くなり、負のスパイラルに陥ります。

自分にとって都合の悪いことを受け入れないということは、結局、周りの環境を非難しているのと同じです。自分は悪くないのに、周りが悪いということになると、自分から何かをしようとか、自分のどこかを変えようという気持ちにはなれません。環境や周りの人に変わることを期待してしまいます。