なぜ「企業理念」はお題目になってしまうのか?
2015年は企業の不祥事が目立った年でした。
不正会計の東芝、免震ゴム不正の東洋ゴム工業、杭打ちの施工不良の旭化成建材というようなものです。また、企業とは関係ありませんが、東京オリンピックのエンブレム選考におけるゴタゴタのような釈然としないものがありました。
なぜ、これらの不祥事が起こるのか。
それは、「目的」と「目標」の区別がついていないからだと私は考えています。「目的」と「目標」。一見似ていますが、企業としても個人としても、この違いをしっかりと認識することがとても大切なのです。「目的」とは存在意義であり、「目標」は目的達成度合いの評価や目的達成の手段です。
皆さんの会社の「目的」について考えたことがありますか。
通常それは「ビジョン・理念」として、会社によっては「ミッション・使命」といった表現がされているところもあります。これを本気で考えている会社と単なるお題目にしている会社では、大きな差があるのです。
会社が存在する「目的」は2つあります。
1つは「良い商品やサービス、独自の商品やサービスをお客さまに提供して喜んでいただき、社会に貢献すること」です。これは別に良い恰好をしているわけではなく、これなくしてどの会社も存在しえません。古今東西の「商い」の鉄則でしょう。
もう1つは「働く人を活かし幸せにすること」です。良い商品やサービスを提供していても、働く人を幸せにしない組織は、存在意義を全うしていません。なぜなら、社会は人を幸せにするために存在しているからです。そして、働く人にとって社会との最も大きな接点が、通常はその働く組織だからです。そういう点において、労働法制すら遵守しない「ブラック企業」が非難されるのは当然のことです。
以上2つはどの会社にも共通する「目的」です。