GDPを支える「構成要素4つ」を言えるか?

年末年始の休暇に、情報分析力を高める(=情報を知恵に変える)というテーマの本をあらかた書き上げました。その中で、情報分析力を高めるフレームワーク(基本的枠組み)について考えました。

結論から先にいうと、次の3つを鍛えることが重要だという結論に達しました。

(1)「基本的な情報」を得る
(2)「基礎的な知識」を習得する
(3)「思考力」を高める

例を挙げながら、説明をしていきましょう。

まず、(1)の「基本的な情報」についてです。たとえば、安倍首相がアベノミクスの1つの目標として、「名目GDP600兆円を目指す」と述べています。ここで、現状の名目GDPが約500兆円であるという「基本的な情報」を持っていれば、「600兆円までは20%増」という分析ができます。

さらに、1990年代初頭の日本の名目GDPも現状と同じ約500兆円だということを知っていれば、「600兆円達成はそう簡単ではない」ということも分かるはずです。

つまり、ベースとなる情報を持っているかどうかということが、情報をより深く、さらにはその本質を理解するのに不可欠だということです。

次に必要なのは(2)の「基礎的な知識」です。たとえば、先ほどのGDPの例で言えば、GDPを支える構成要素は、次の通りです。

・個人を中心とする「消費」
・企業を中心とする「投資」
・公的部門による「政府最終支出」
・輸出と輸入の差の「純輸出」

中国人による「爆買い」がGDPを押し上げることは肌感覚で分かりますが、上の4つの「基礎的な知識」(2)を理解し、「貿易収支の赤字(輸出より輸入が多い)が増加」という情報を得た場合には、「その分GDPが減少する」という結論を得られるわけです。

では、先ほどの「基本的な情報」(1)と「基礎的な知識」(2)との違いは何でしょうか。

情報は鮮度が必要なことが多く、状況によりアップデートが必要になります。ですから、新聞やテレビ、あるいはネットなどからコンスタントに情報を得て、自身にとっての「基本的な情報」(1)をアップデートしていく必要があるのに対し、「基礎的な知識」(2)のほうは、一旦理解すると、多くの場合、一生使えるということです。

そのためには、各人が必要な分野については、基本書や専門書を読んで理解しておくことなどが必要です。ただし、「基礎的な知識」(2)も「基本的な情報」(1)がなければ、それを活用することができないことも多く、逆もまた同じです。