情報と知識と思考力の「ハイブリッド」
最後は(3)の「思考力」です。これは、ある情報と他の情報を結び付けたり、基礎的な知識を使って分析をしたりすることです。深く考えたり、全く関連のない情報を結びつけたりする能力です。理解やひらめきというものに大いに関連しています。
これは、普段から物を深く考えるクセをつけたり、難しい本をゆっくりでもいいので分かるまで読んだりすることなどで身につきます。
ここで、大切なことは、「基本的な情報」(1)、「基礎的な知識」(2)、そして「思考力」(3)もすべて、自身の脳の中で起こるということです。つまり、外部データベースにそれらがあっても、簡単には知恵にはならないということなのです。
自分の頭の中にそれらをきちんと格納できているかということが大切です(もちろん、複数人で情報や知識を共有したり、知恵を出しあったりすることはできます)。仕事の上では、この自前の格納された情報や知識や思考力をフル活用することでアイデアや儲けを生み出すのです。
私は、講演やこういう文書を書くときには、原則、直前にはほとんど準備しません。
それは、自分の頭の中にあるものだけを出しているからです(もちろん、普段からいろいろと勉強をしていることは言うまでもありません)。外部データベースにあるものを右から左にアウトプットしているようでは本物ではなく、自分の頭の中にある情報を自分なりに理解・解釈して、それを自分の言葉でアウトプットすることが大切だと考えているからです。
皆さんも「基本的な情報」(1)、「基礎的な知識」(2)、「思考力」(3)を意識しながら情報分析力を高め、知恵を出してくださいね。(春までには本が海竜社から出版される予定です。「基本的な情報」の獲得の仕方、「基礎的な知識」の学び方、「思考力」の高め方などについて詳しく書いていますので参考にしてください。)
1957年生まれ。京都大学法学部卒業後、東京銀行入行。86年米ダートマス大学経営大学院でMBA取得。帰国後、経営戦略業務などに携わったのち、岡本アソシエイツ取締役就任。96年小宮コンサルタンツ設立。企業経営の助言の他、講演や執筆も。最新著は『松下幸之助 パワーワード ―強いリーダーをつくる114の金言』(主婦の友社)、『小宮一慶の1分で読む!「日経新聞」最大活用術 2015年版』(日本経済新聞出版社)、『No1コンサルタントが教える 20代の後悔しない働き方』(青春出版社)、『一流に変わる仕事力』(中経出版)など。