そこで今年はAとBの労力を逆にすれば、Aが「5万円×労力4=20万円(前年より10万円減)」で、Bは「7万5000円×労力6=45万円(同15万円増)」。A単体の売り上げが減っても、トータルの売り上げは65万円。つまり、同じ労力10でも営業成績は計画通り伸びる。これが効率を数字で捉えるということなのだ。
図を見ていただきたい。いまから3時間かけて、3つの商品「A」「B」「C」を売るのだが、それぞれ1個の利益と在庫は示された通り。利益を最大限にするためには、何を優先的に売ればいいか。「最も利益の大きいAに注力すべきだ」と考えたら、まだ効率のことを理解していない。
注目すべきは1個売るのに必要な時間から見た効率だ。表にあるように販売するのにかかる1分当たりの利益を見ると最も効率のいいCを積極的に売るという考え方ができる。Cを10個完売し(100分)、残り80分で次に効率のいいBを4個売ったところでタイムオーバーになるが、この時点でのトータルの利益は6万4000円。一方、Aを優先的に売った場合は利益は4万2000円だ。
こんなのは机上の計算に過ぎないと思う方もいるだろう。その感情は理解できないわけではない。しかし、一方で利益を生み出す者はこうした計算を行うことで仕事を効率化し、利益を最大化していることも事実なのである。
(構成=田之上 信)