違いはポテンシャルではなく心構えにある。人材育成のプロたちが説く、いまもこの先も活躍できる人の条件とは。

上司にとってもおいしいネタを探す

会社のリソース(人、物、金、ブランド)を使って、自分の好きなことをやりつつ、会社も儲けさせる。そういう“孝行息子”を目指そう。

実例はいくらでもある。たとえば、毎週木曜日の朝7時から開催されているベンチャーの登竜門、モーニングピッチの運営者の一人であるトーマツベンチャーサポートの斎藤祐馬さんだ。

モーニングピッチの目的はスタートアップ期のベンチャーと大手企業の橋渡しだ。毎回、4社のベンチャー経営者が企業人を前にプレゼンをし、事業の価値が認められれば出資やアライアンスが決まる仕組みだ。

斎藤さんは監査法人トーマツの会計士である。中学生の頃、父親が脱サラして事業家となり、苦労する姿を傍で見ていた彼は、ベンチャーを支援する参謀のような会計士になるのが夢だった。しかしトーマツの顧客は一定規模以上の企業で、ベンチャーは対象外。会社を説得しこの事業を立ち上げた。

もう一人は現在、広告代理店関連会社社長を務めるYさんである。親会社の広告代理店に入社したYさんは新人の頃から、会社のお金とブランドを使い、社外ネットワークを大きく広げた。接待費を使い倒したのである。ただ飲み食いしていただけではない。有識者、同業他社の関係者を巻き込み、新たなビジネスの可能性も議論していた。なぜそんなことができたのか。Yさんの手腕によるところが第一だが、会社の持つブランド力という点も大きかった。

そのうち有望なネタが見つかり、同業他社との共同出資形式で新会社が立ち上がった。30代半ばだったYさんが言い出しっぺということで社長に任命された。当初は低空飛行だったものの、瞬く間に会社は上場した。莫大な上場益を親会社にもたらしたのだ。Yさんもその会社も、まさに孝行息子といえる。