違いはポテンシャルではなく心構えにある。人材育成のプロたちが説く、いまもこの先も活躍できる人の条件とは。

目指すべきは「タモリ」のポジション

●解説者:井上 和幸

昨年終了した「笑っていいとも!」におけるタモリさん。そんな人材になれれば引く手あまたです。同番組には月から金という枠で毎日5~6人ずつ、旬の芸能人がレギュラーとして出演。タモリさんは彼らを束ねる立場でした。

芸能人にも流行り廃りがあります。実際の人選は番組統括のプロデューサーが行っているはずですが、タモリさんが場を仕切り、彼らの力をうまく引き出しながら番組をつくりあげていたのは確かです。「笑っていいとも!」という場をうまく使い、自分の価値を発揮していたのです。その役割をビジネスの場面に置き換えると、プロジェクトリーダーやディレクターとなるでしょう。

なぜタモリさんのような力が重要なのか。背景にあるのがやはり変化です。変化が激しい時代、いつも同じメンバーで成果が挙げられるとは限りません。むしろ目的に合わせて、その都度最適なメンバーを機動的に組み合わせる力が重視されるようになっています。

会社の場合、雇用法制の問題があるので一気呵成にはいきませんが、メンバー固定型からプロジェクト遂行型へ、組織の形態が変化しているのは確かです。世の中に対する目利きがうまく、社内外のネットワークが豊富でチームビルディングにも長けたプラットホーム人材は重宝されるでしょう。

プラットホーム人材とは「自分は会社にどんな貢献ができるか」を常に意識している人でもあります。幹部クラスの転職相談に乗る際、私は「外部のコンサルタントとして解決策を売りにいく意識で転職活動をしてみてください」とアドバイスしています。

もしあなたが営業部門の経験者なら、相手の質問が一段落した頃に「御社は営業で何をお悩みですか」と逆に聞いてみるのです。悩みに応じて解決策を提案する。内容が的を射ていたら、ぜひうちに来てそれを実行してください、と三顧の礼で迎えられるはずです。