強いチームのカギは「パーソナル・マスタリー」

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求められるのはリーダー
●解説者:熊平 美香

個々のメンバーが自らの意思で動く強いチームをつくる。カリスマ的なリーダーよりも、こういう力を持った人は引っ張りだこになれるでしょう。キーワードは、誰かに命令されたからでも顧客に怒られたからでもなく、「自らの意思で」ということです。

具体的にはどうすればいいのでしょうか。パーソナル・マスタリーという言葉があります。日本語にすると「個々人が最も大切にしている価値観」です。その価値観に紐づけた形で何かに取り組むと主体性や情熱が生まれ、最高のパフォーマンスを実現できるのです。

リーダーは自らのパーソナル・マスタリーを認識するのはもちろん、各メンバーが自分のパーソナル・マスタリーを認識し、それと目の前の仕事を結び付けられるように配慮しなければなりません。そのためにはまず組織のビジョンをメンバーに伝え、共感を引き出すことです。

次に必要なのが、メンバーのパーソナリー・マスタリーを引き出し、目の前の仕事と関連づけてあげることです。具体的には、「どんなことを大切にして仕事をしているのか」「どんなときにモチベーションが上がるか」「この会社で働くことはあなたにとってどんな意味があるか」といった問いを投げかけ、それに対するメンバーの答えをしっかり聞いてあげてください。

多くの人はそういう問いを投げかけられたことがありませんから、最初は戸惑うでしょうが、じきに慣れ、そのうち自問自答するようになります。そうなればしめたもの。パーソナル・マスタリーを自覚し、それを大切にしながら仕事に励んでくれるようになり、個々のメンバーが自らの意思で動く強いチームができあがります。それを率いるあなたを会社が評価しないはずがありません。

井上 和幸(いのうえ・かずゆき)
早稲田大学卒。
リクルート等を経て経営者JP社長。『5年後も会社から求められる人、捨てられる人』など著書多数。

 

熊平 美香(くまひら・みか)
ハーバード大学大学院修了(MBA)。
熊平製作所、藤田商店等を経て、一般財団法人クマヒラセキュリティ財団代表理事。

 
(構成=荻野進介 撮影=向井 渉)
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