料理はマルチタスクの最たるものといわれるが、そのレシピのように、進める仕事の順番を整理して書き出すのも1つの方法だ。

これを具体化したのが、心理学ジャーナリストの佐々木正悟さんのスケジュール管理である。1日の予定を分刻みでスマホに逐一入力しておけば、後はそれに沿って行動するだけ。その都度、1つのことに集中できるから、ワーキングメモリーが容量オーバーになる心配もない。

「予定を立てるときには、『こうしたい』という希望ではなく、現実に可能な行動に基づくことが大切です。実態の通りであれば、計画倒れになることはありません。項目をすべて動詞で書いてあるのも、実際の行動に基づいているため。また、名詞より動詞で書いたほうが行動に移しやすいという理由もあります。ToDoリストについても、私は動詞で書くよう勧めています」

デジタルのスケジュール管理ツールなら、毎日繰り返す項目はリピート機能を使うと便利。リストを書くだけで少しでも時間に余裕のある人間になれるなら、とりあえず試してみる価値はありそうだ。

西多 昌規(にしだ・まさき)
精神科医・医学博士
自治医科大学精神医学教室講師。1970年、石川県生まれ。東京医科歯科大学医学部卒業後、国立精神・神経医療研究センター、ハーバード・メディカル・スクール研究員を経て現職。
 
佐々木 正悟(ささき・しょうご)
心理学ジャーナリスト
1973年、北海道生まれ。獨協大学卒業後、ドコモサービス勤務を経て、米・アヴィラ大学心理学科卒業、ネバダ州立大学リノ校・実験心理学博士課程に移籍。2005年帰国。専門は認知心理学。

 

(撮影=向井渉、宇佐見利明 写真=フォトライブラリー、GettyImages)
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