印象は声が4割?

せっかく話しているのに、誰も話を聞いていなかった。そんな苦い経験をお持ちの方もいらっしゃるかもしれない。「楽しみにしていました!」と言った人が、後ろのほうで寝てしまったのは、お疲れだったのか、話がつまらないからか……。ほかにも大きな要因があるようだ――。

“内容”とともに“伝え方”も大事なのは、前回(http://president.jp/articles/-/13597)もラリー・スミス氏の話し方からお伝えしたが、その主なポイントは“情熱”だった。今回は人間の体が持つ優れた道具箱から 「のど」というすごい楽器をとりだしてみる。声は人に影響を与える際に大きな武器の一つとして生かせるが、その実、私たちは使いこなしていないことが多い。ここを巧く活用することで、話す力を高めることができるという。

音の専門家であるジュリアン・トレジャーがTEDで語ったのは「力強く話す」ためのポイントである。まずは、人が話を聞いてくれないときに、ほんの少し発声を変えるだけでも話に耳を傾けてもらえるようになるという、その内容を参考にしてみたい。

心理学でも「印象の4割は声によるもの」との説もある。以前にもご紹介したアルバート・メラビンは、特定の条件下での実験結果から、人が受ける印象は視覚が55%、聴覚が38%、言語が7%としている(解釈に関しては第10回(http://president.jp/articles/-/9681)を参照のこと)。一定レベルまでは、声を改善するだけでもずっと印象が上がっていくようだ。

上手に使いこなせば、交渉などの成果に大きく影響するという声の活用術では、次のような点を意識することになる。