交渉に効果大! 声の6技術
プロポーズや交渉事など、あらゆる“説得”に影響が見られるのは、声域、声の質感、韻律(プロソディー)、ペース、音高(ピッチ)、声量、この6つの道具だとトレジャー氏は語る。
「声域」:<深さ=力・権力>
声の高さの範囲といったもの。鼻から声をぬくときと、のどから声を出すときでは、声の質が変わってくる。たいていはのどのあたりから声を出すが、さらに重厚感を出したいなら胸より下から声をだす。実は、私たちは声の深さを力や権力と結びつけるため、低い声の政治家に投票する傾向にあるという。
「声色」:<豊か、なめらか、温かみ=好感>
声の質感のこと。研究によると、豊かで、なめらかで、温かみのある声が好まれる傾向にある。イメージとしてはホット・チョコレートのような感じ。訓練で上達できるもので、息遣いや姿勢を学ぶだけでも見違えるように声質を改善できる。必要があれば、ボイストレーナーなどに頼るのも手だ。
「韻律(プロソディー)」:<抑揚、言葉に意味を添えるメタ言語>
会話の醍醐味といえる部分。“ずっと同じ調子で話されると聞く気が起きない”のは、韻律がないために変化が乏しく、ポイントがつかみにくいから。たとえば意見を言う時に、まるで疑問文のように文末が上がる話し方をするなど区別がなくなると、本来は韻律だけでも伝わるニュアンスがわかりにくくなり、意思疎通を図りにくくなる。
「ペース」 :<速い=興奮した印象、その中でゆっくりすると強調になる>
速く話すと興奮した印象になり、その中で一部ゆっくり話すことで強調できるようになる。また、隙間を「えーと」とか「あー」で埋めるよりも、むしろ沈黙したほうが効果的に“間”を作り出せる。
「音高(ピッチ)」:<声の高低=意味、ニュアンスを変える>
感情の高ぶりはピッチとテンポで表現できる。同じ一言「カギをどこに置いた? 」「僕のカギをどこに置いたんだよ?」と 音高を変えるだけでも、違う意味になる。
「声量」:<声の大きさ=印象を変え、ポイントを示す>
声量によって興奮した印象を与えたり、静かに話したりすることで注意を引きつけたりできる。声量をうまくコントロールすることで、話をより印象的にし、話のポイントを示すことも可能になる。
以上のポイントを上手に使い分けることでより話に盛り上がりが出てくる。たとえば選挙では、こうした声が候補者を選ぶ要素のひとつになっているという。次に、ちょっとおもしろい実験結果をみてみよう。