旧財閥系3社と野村の寡占進む
しかし、同じく大京が08年から10年まで3年連続首位を果たしたのを最後に、マンション業界の“天下獲り”は乱戦模様が続いてきた。実際、11年以降は三菱地所、野村不動産、三井不動産といずれも初の首位に輝いたにも関わらず、翌年には首位の座を明け渡し、連続首位は成し遂げられていない。14年に首位の座を射止めた住友不動産も、このジンクスから「明日は我が身」な可能性は否めない。
昨年4月の消費税増税以降のマンション市場の厳しさからすれば、「ランキングにこだわっていられない」というのが各社の偽らざる本音に違いない。14年年間の販売戸数は前年を21%と大幅に割り込む8万3205戸と、09年以来5年ぶりのマイナスとなった。消費税増税前の駆け込み需要から10万戸を超えた前年と比べればマンション市場は、お寒い状況が続いている。
不動産経済研究所は、15年の販売戸数を前年から8.2%増の9万戸と予測する。円安への転換で資材価格は高騰したのに加え、人手不足を反映した労賃も上昇し、マンション価格は建設費の上昇を転嫁せざるを得ず、着実に上がっている。これに加え、消費税率10%への引き上げ時期が17年4月に大幅に延期されたことから、「マンション購入に様子見の動きが強まっており」(業界関係者)、マンション市場の本格回復には、しばらく時間がかかるとの見方が一般的だ。
政府による手厚い住宅取得促進策や歴史的超低金利にある住宅ローンも、なかなかマンション販売に追い風にもなっていない。ただ、ランキングに関しては、「リーマンショック」後に多くの中堅業者が市場撤退したことで、マンション販売は三菱、三井、住友の旧財閥系3社に野村不動産を加えた上位陣の寡占化が進んでおり、15年の首位争いもこの4社に絞られることは間違いない。