中古価格こそが本当の価値を表す
2013年の夏、リーマンショック後では国内最高値と言われる、坪単価800万円の新築マンションが売り出され、話題となった。70平米に換算すると1億7000万円という値段だ。
しかし、一般に高額であるからといって、将来もその価値を維持できるかどうかはわからない。それは、新築マンションの価格は、物件自体の良し悪しだけでなく、そのときの景気や不動産市況、物件の話題性などに大きく左右されるからだ。
これに対して、マンションの変わらない「価値」をよりわかりやすく表しているのが、中古物件の価格だ。これを維持できるマンションは、年月を重ねるほど価値が出るワインになぞらえて「ヴィンテージマンション」とも呼ばれる。その代表格・東京都渋谷区の「広尾ガーデンヒルズ」は、築20年超で、新築時より2~3割価格が上昇したといわれる。
あなたの住む街にも、値段が下がりにくいマンションは存在している。「築年数の割に、高い値段を維持しているマンション」がそうだ。しかし問題は、中古マンションの市場価格がわからないということだ。
そこで今回は、全国にある分譲タイプマンションの97%について推定市場価格を算出・公開しているマンションリサーチの協力により、「中古になっても高価格を維持しているマンションのランキング」を作成した。同社では、ウェブやチラシなどから中古マンションの売り出し価格を収集。そこから一定比率をディスカウントすることなどによりマンションごとの市場価格を推定している。「実際に、80%の不動産取引が推定市場価格の上下5%以内で行われていることが確認されている」(マンションリサーチ・山田敏碁社長)。
今回はそのうち、東京23区の約1万6860棟(20世帯以上、ワンルームマンションなどを除く)のデータを使用した。同社のデータは、サイト上でも公開されている(マンションナビ http://t23m-navi.jp/)。
ランキングでは、築年数の新しいマンションが有利になることを避けるため、経年による平均値下がり額を算出し、築年数による修正を加えた。なおデータからは、2000年以降築の物件は1日1平米あたり46.6円、1990~00年築の物件は63円、80~90年築の物件は5.6円、80年以前築の物件は1.2円ずつ市場価値が下がることがわかった。たとえば、00年以降築の70平米のマンションであれば、1日に46.6円×70平米=3262円、1月で約9万8000円、1年では約119万円、資産価値が減少するということだ。この減少速度が遅いマンションに住むことは、個人の資産形成のうえでも重要であることがおわかりいただけるだろう。ランキング上位にあるマンションは、この資産減少速度が遅い(あるいは逆に増えている)マンションだ。