今は新築もローコスト住宅などで昔に比べてかなり価格が下がっており、中古と合わせて比較検討する方も増えているが、同程度の価格なら土地がやや広めに確保できる中古を選ぶのも有効な選択肢だ。
中古でも築浅のほうがいいという気持ちはわかるが、中古の価格は築5年である程度下がり、10年でさらに下がり、15年でぐっと下がるが、そこから先は落ち着いてくる。実際、中古物件の成約数のうち、半数以上を占めているのは築15年までの物件である。ただし築5年の物件の場合、そもそも売りに出る数そのものが少ない点も留意しておく必要があろう。一戸建ての場合は、価格に占める土地の割合が高いので、マンションほど落差は出にくい。
マイホームを資産として見た場合、望ましいのは先々価値の目減りが少ない物件。そういう意味で、10年落ち、15年落ちのマンションは選択肢として有効である。
ただ、建物の状態のいいものもよくないものも、前述の値動きはほとんど同じ。日本の流通市場の中では、建物の状態は誰も見ておらず、それが価格に反映されないのである。不動産会社はそこをよく理解しており、内装等の表面だけを綺麗にして再販するが、そもそも彼らは、取引のプロではあっても建物に関しては素人と同じである。そこをわきまえたうえで、取捨選択をしっかり行わないと失敗する。
これまでは、住宅の商談は20年、25年後の建て替えを前提に進められていたが、今後は物件の価格も、購入者の給与も上がることは期待できないから、建て替えを行う余裕のある人は、恐らくそうはいないだろう。半面、建て替えるのがもったいない物件もたくさんある。いい状態のものを買ってメンテナンスするやり方が基本となるだろう。多くの物件を見て回って、見る目を養うのがベターだ。実際に見てみなければわからないことはたくさんある。築年数ばかりにこだわる必要はない。思わず絶句するような新築もあれば、築10年の建物より状態のいい築20年超も珍しくないのである。