私(ライオンズマンション豪徳寺第3管理組合法人代表理事 矢内世夫)は過去30数年間に、売却済みのものを含めて8室のマンションを購入し、どのマンションでも一度は管理組合の役員を務めてきた。その経験からわかったのは、マンションの資産価値を守るのは、住人の代表からなる管理組合だということである。したがって、中古物件を購入する際は、管理組合の実情をチェックしてみることをお勧めする。
まず、管理関係の情報のうち、管理規約、管理費の内訳、修繕履歴、修繕積立金の残高、管理費の滞納状況などは、宅建法35条に定められた重要事項にあたるので、不動産仲介業者から購入前に説明を受けることができる。ここで日常管理費の金額が高く、修繕積立金が低めであったり、管理費がかなり滞納されているようであれば、管理組合がしっかり機能していない可能性が高い。
ただ、理事会の名簿や活動内容といったことまでは開示義務がないので、これらについては不動産仲介業者に質問することになる。しかし仲介業者は芳しくない情報は話したがらないし、買い手側の仲介業者の先に、売り手側の仲介業者が入ることが多く、実際問題として管理関係の細かな問題を聞き出すのは難しい。
そこで、できれば購入前に仲介業者とともにマンションを訪ね、管理員と話しておくことが望ましい。雑談を通して、理事長がどんな人物か、公私混同はないかといった、マンション管理の実態を聞き出すことができる。仲介業者が同行していれば、管理規約や管理組合の議事録なども見せてもらうことができる。
管理組合のよし悪しは、理事長次第で決まるといっても過言ではない。理事長が良識ある人でないと、管理費の流用や管理会社との馴れ合いといった問題が起きやすい。
管理規約からは、管理組合の役員の選任方式や、報酬制度の有無、監査役が複数体制になっているのか、といったことがわかる。理事の選任については、よくある無報酬・1年交替の輪番制では無責任体制に陥りやすいので、適切な報酬制度があり、理事長が5年程度は続けられる形であることが望ましい。