家の目の前にできたら厄介なもの――。その代表例がゴミ置き場だ。
夏場は生ゴミの嫌な臭いが、家のなかにまで漂ってくる。また、ネットをかけただけのゴミ置き場の場合、カラスがゴミを食べ散らかしてしまうことがある。利用者全員が持ち回りで清掃・管理することになっていたとしても、時が経つにつれて次第に規則が守られなくなっていくのが世の常。その結果、ゴミ置き場が目の前にある家の人、特に主婦の方に後片付けのお鉢が回ってきてしまう。ときには不法投棄された粗大ゴミを自腹で処分しなくてはならないことだってある。そうした物心両面における負担は大きく、不動産業界ではこうしたゴミ置き場のことを「嫌悪施設」と呼んでいる。
一定の広い土地を区分けして戸建て住宅を販売する開発分譲の場合、開発業者がゴミ置き場の場所をあらかじめ決めている。区画の図面ないしは現地を確認すれば、その位置はすぐにわかる。そうしたゴミ置き場が目の前にある分譲地については、業者が初めから売り値を相場よりも5~10%程度割り引いているものだ。「マンションではなくて、どうしても一戸建てがほしい。でも資金的に苦しい」という人にとっては、ゴミ置き場があることさえ覚悟すれば手が届くようになる可能性も出てくるわけで、ある意味で狙い目の物件ということもできる。
問題は戸建て住宅が一軒、また一軒と建って徐々に住宅街が形成されていくなかで、気が付いたら自分の家の目の前にゴミ置き場が設置されたケースである。通常、ゴミ置き場については各地域の独自のルールに委ねられている。それも利用する住民の話し合いによって設置することになっていて、「何年かに1回ずつ輪番で家の前に設置する」という決まりになっていることが多い。そうしたゴミ置き場の設置ルールに関しては、仲介業者が重要事項説明書のなかで説明しなくてはならない。もしそのことに触れていないのなら、仲介業者に調べるように要求しよう。後になって「知らなかった」ということがないようにしたいものだ。