トラブルがあっても行政は民事不介入

たとえゴミ置き場の設置場所について輪番制のルールが決まっていたとしても、次の設置場所の家の持ち主が替わり、賃貸になっているような場合であると、「そんな話は聞いていない」と借り主の反対にあってスムーズに事が進まないことがある。そして、不本意ながら家の前にゴミ置き場が設置されたまま住居を売りに出すと、先ほどの開発分譲の購入のときとは逆に、相場から5~10%のディスカウントを余儀なくされてしまう。いや、買い手に足元を見られて、さらにプラスアルファの値引きを要求されることだって十分にありえる話なのだ。

ゴミ置き場の設置について何かトラブルがあったとしても、基本的に行政は「民事不介入」で自ら解決に乗り出すことはない。隣の敷地にアパートが建ち、自分の家の敷地に隣接する形でゴミ置き場ができてしまっても、そこが相手の敷地内であればクレームをつけることができない。所有者がどう使うかは自由だからだ。普段から町内会など地域のコミュニティーに積極的に参加して、何かトラブルが発生したら住民同士の話し合いで積極的に解決していく土壌をつくっておくことが大切だろう。

このほか家の目の前にできてほしくない嫌悪施設には、霊園や宗教法人の施設などがある。購入を決める前に重要事項説明書のなかで建設の予定がないかどうかをチェックしておきたい。また、家の隣に公園ができてしまったときも、厄介な問題を抱え込むことになる。昼間は子供たちが遊ぶ声がうるさいし、強風が吹けば砂ぼこりに襲われてしまう。そして夜間の公園には不審者が入り込みやすく、防犯面での不安がつきまとうことになるからである。

大手不動産会社営業所長 加藤一真
東京での営業でトップセールスを続け、いまは九州の地方都市の営業所を任せられている。買い主にベストの物件を紹介するのがモットー。
(構成=伊藤博之)
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