主体的に管理すれば資産価値が上がる
管理組合の理事会の議事録を読めば、理事会に管理会社の社員が加わっているか、年度計画と予算が管理会社任せになっていないか、といった点から、管理組合の実力を知ることができる。
管理組合が主体的に管理しているマンションでは、日常管理費や大規模修繕の費用が抑えられ、積立金の額が大きくなっていることが多い。当然、その分だけ物件の資産価値も高くなる。ゴミ出しや騒音問題、駐輪場の使い方など、入居者のマナーやモラルについても、管理員任せではなく管理組合が関わることで高く保たれやすい。
一方、管理会社が名の通った大手だと安心する人が多いが、大手管理会社ほど業務の標準化が進み、集金から清掃までマンション管理の全業務を自社グループで囲い込んでいるため、管理組合が自主性を発揮する余地が少ない。もっといえば、管理会社は管理組合がわからないところで利益を稼いでいるのだ。
たとえば、多くの管理会社は関係会社を清掃作業の下請けに使っているが、受託費用が相場より高かったり、隔年で済む排水管の洗浄を毎年実施するなど、全体として割高になっていることが多い。また、管理会社は大規模修繕工事を早めにやらせたがる傾向がある。工事には自分たちが連れてきた業者を使い、彼らのいうとおりに修繕工事を行うと、非常に割高についてしまうのだ。
現実には、理想的な管理を行っているマンションは非常に少ない。どれか一つでも優れたところのある物件を選ぶべきだろう。
ライオンズマンション豪徳寺第3管理組合法人代表理事 矢内世夫
福島県立磐城高校、東大法学部卒。神戸製鋼、タナベ経営を経て独立。著書に『管理会社との賢い付き合い方』など。
福島県立磐城高校、東大法学部卒。神戸製鋼、タナベ経営を経て独立。著書に『管理会社との賢い付き合い方』など。
(構成=久保田正志)