組織の抱える最大の難問が人間関係にまつわる問題。人間を9つのタイプに分類し、分析するエニアグラムの第一人者、安村明史さんにコミュニケーションツールとしてのエニアグラムを教えてもらおう。

先天的な性質は9つのタイプに分けられる

ビジネスパーソンにとって、取りつく島のない上司、何度注意しても同じ失敗を繰り返す部下、何度会っても打ち解けられない取引相手……といった他者との人間関係にまつわるストレスが最大の悩みの種でしょう。

エニアグラムとは「人間は9つの性格タイプに分けられ、私たちは皆、その9つのどれかに当てはまる」という考えに基づいたコーチング方法で、アメリカのみならず、わが国でも、法務省などの官庁、ホンダ、ソニー、ダイキンといった大企業が人事研修の一環として導入し、徐々に普及しつつある人材マネジメントツールです。

ここでいう9つのタイプは「気質」を表しています。「性格」や「人格」は年齢を重ねていくにつれて変化する後天的な特徴を示すのに対し、「気質」はその人が生まれ持った先天的な性質を指します。つまり本来の「自我(エゴ)」と同等です。

9つのタイプとは以下の通りです。

(1)完全主義者タイプ。正義感が強く生真面目な努力家。神経質で融通が利かない。
(2)博愛主義者タイプ。細かい気遣いで、自己犠牲を厭わない世話好き。押しつけがましい、八方美人。
(3)成果主義者タイプ。競争心が強く、能率、マネジメントを重視。仕事熱心で行動的。成功への意欲が強い。
(4)芸術家タイプ。ロマンチスト、感受性が強く、繊細な天才肌。豊かな創造力を持つ。ナルシシスト。
(5)研究者タイプ。探究心が旺盛。冷静沈着で学究肌。分析力に富む皮肉屋。内向的。
(6)サポータータイプ。責任感が強く、規則を厳守する。安全第一で疑い深い。新しい挑戦は苦手。
(7)楽天家タイプ。好奇心旺盛で楽天的な自由人。柔軟性があり、気分転換が上手。飽きっぽい。
(8)挑戦者タイプ。統率力があり自信家。他人に操られるのを嫌う。決断力があり、逆境に強い。
(9)平和主義者タイプ。マイペースで無欲。友好的で葛藤を嫌う。器が大きい。逃避的。怠慢。

わかりやすく伝えるために、それぞれの性格タイプに近い漫画のキャラクターを当てはめてみると、次のようになります。

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9つのタイプの相性相関図(1)

(1)=星一徹
(2)=ドラえもん
(3)=峰不二子
(4)=スナフキン
(5)=名探偵コナン
(6)=マスオさん
(7)=サザエさん
(8)=ジャイアン
(9)=ウルトラマン

では、このキャラクターたちの相性を見てみましょう。最初にお断りしておきますが、完全に理解し合えない相性の組み合わせはありません。しかし、それぞれの人が大切にする優先順位が違うため、ぶつかってしまったり、疎遠になってしまう組み合わせはあります。また、相性は双方向だけでなく、片方向の場合もあります。とはいえ、最初から、この人はこのタイプだから思考方法が自分とは違うとわかっていれば、ある意味ストレスは溜まりにくいはずです。