相性を知って人間力向上業務も活性化
苦手な人とは、どう付き合えばよいのでしょう、とよく質問を受けますが、まず、前提として「すべての人は正しい」と考えてください。
気質とは人間の自我、つまりエゴです。エゴは価値観という言い方もできますが、価値観に善悪や優劣はないという考え方を持つことが大切です。マスオさんはマスオさんで生きていいし、ジャイアンはジャイアンの生き方をすればいい。ジャイアンにマスオさんになれ、といってもなれないのです。なれるのはよりよいジャイアンであり、よりよいマスオさんです。多様性というのは人間においては自我の違いなのです。能力の多様性は本質の多様性でもあるのです。
人間はどうしても自分のタイプを基準に物事をとらえてしまいます。ですから、自分では正しいと思ったメッセージが誤っている場合も多い。
ある企業の創業者が、「昇進は実力主義! やる気のある若者募集!」と威勢のよい求人広告をしたのですが、何回採用してもみんな辞めてしまう。分析してみると反応して応募してきたのはジャイアンタイプばかり。お山の大将が大勢集まってもうまくいくはずがありません。誰にメッセージを発するかで言葉の選び方、訴えるポイントは変わってきます。
人との接し方も一緒です。目を見て大きな声で話せ、といわれることも多いのですが、これが通用するのはガッツセンターの人々です。ハートやヘッドセンターの人は目を合わせたり、大きな声には萎縮してしまいます。
そもそも、なぜ苦手かというと、自分と全く逆のものを持っているからです。星一徹タイプにとってサザエさんタイプは、ものすごくいい加減に見える。しかし実は不足している点、学ぶべきものを、サザエさんが持っているということなのです。つまり、自分の先生。先生というのは苦手なものです。学ぶべきものがこの人にあるから苦手と感じるのか、と気が付けば、前向きな関係が結べるはずです。
がんばってコミュニケーションをよくしようと努力する必要はありません。互いの気質を理解することによって、人間関係、信頼関係、コミュニケーション力が高まり、組織としての業務も活性化するのです。