グローバル化、業界再編、リストラ……、企業を取り巻く環境は激変している。ライバル会社はどうなっているか、徹底レポートする。

復興需要で一息も予断を許さない理由

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【鉄鋼・非鉄・金属】年収、平均年齢、従業員数

新日鉄住金の新社長に新日本製鉄出身の進藤孝生副社長が就任。合併後は新日鉄の宗岡正二会長(CEO)、住友金属工業の友野宏社長(COO)の2トップ体制で「対等」を演出してきた。だが、友野氏を中二階の副会長に祭り上げて、CEO・COOを廃止。新日鉄と住金の合併から1年あまり、進藤新社長に権限を集中し、名実ともに新日鉄支配下に。統合作業のスピードを上げ、2000億円超を目指す合併効果の実現を急ぐ。人口減などを背景に国内需要の減少が避けられないなか、社内を一枚岩にしたうえで海外市場の攻略を本格化する。

新日鉄における売り上げ規模の3分の1の住金は当初からのみ込まれてしまうと言われていたが、今後ますます新日鉄色が強まるだろう。合併人事については当初から「たすきがけ人事はしない」と言ってきたが、進藤次期社長も「人の配置形式を守る必要はなく、仕事本位で進める」と記者会見で発言している。主要幹部クラスは軒並み新日鉄出身者が占めることになりかねない。

住金出身の課長職の男性は「当初は2000億円のコスト削減を打ち出し、リストラもあるんじゃないかと不安だったが、今期は業績も上向いており、当面はないのではないか。それよりもポストがなくなり、昇進の道が絶たれるという不安の声は多い」と語る。

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【鉄鋼・非鉄・金属】業界年齢構成、平均年収

合併によるポスト減は給与にも響く。同社の主任クラスにおける35歳の年収は約850万円。課長になると軽く1000万円を超える。同社は今期の経常利益3400億円を見込み、賃上げにも前向きだが、昇進争いの中高年組にとってはそれどころではない。

鉄鋼業界は復興需要や自動車の好調などで一息ついているが、今後は予断を許さない。中国・韓国勢の新鋭製鉄所による世界的な供給増に加え、自動車などクライアント企業のグローバル化の対応も迫られている。中堅電炉メーカーの中山製鋼所は経営危機に陥り、再建中だ。気になるのが神戸製鋼所の先行きだ。2012~13年3月期は最終赤字を計上したが、今期は増益予想だ。だが、鋼材事業の収益力低下を受けて17年度をめどに神戸製鉄所の高炉を休止し、加古川製鉄所へ生産を集約することにしているが、さらなるコスト削減は避けられない。

今後は経営資源の効率化を進め、強みのある事業に特化した独自路線で生き残りを図っていくことにしているが、場合によっては新日鉄住金との合併もあるかもしれない。何が起こっても不思議ではない業界だ。

(ライヴ・アート=図版作成)
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