グローバル化、業界再編、リストラ……、企業を取り巻く環境は激変している。ライバル会社はどうなっているか、徹底レポートする。

アベノミクスに沸く金融業界

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【銀行・保険・証券】年収、平均年齢、従業員数

空前のヒットと言われた、テレビドラマ「半沢直樹」の舞台となった都市銀行(メガバンク)。3メガバンク(三菱東京UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行)の好業績は続く。

3メガバンクの2013年9月中間連結決算においての最終利益の合計は、1兆4600億円を超えた。08年のリーマン・ショック以降で、最高の利益水準となった。安倍政権の経済政策「アベノミクス」に伴い、株高となり、取引先企業の業績回復が進んでいることが、その大きな要因である。

メガバンクはグローバル化や国内の厳しい競争に備え、グループによる一体経営を進める。みずほフィナンシャルグループだけが2行体制を敷いていたが、13年7月、みずほ銀行とみずほコーポレート銀行が合併し、ワンバンクとしての体制を固めた。

一方で、古くて新しい問題も表面化した。13年秋には、みずほ銀行の暴力団融資問題が取り上げられた。12月には、金融庁検査に事実と異なる報告をしたとして、同庁から業務の一部停止命令を受けた。

メガバンクを中心とした銀行業界は、産業構造の転換という重い現実に直面している。能力や実績とは関係なく、多くの行員が辞めていかざるをえないシステムがある。30代後半頃からグループ会社などへの出向が始まる。40代になれば、それが本格化する。同期生の相当数がグループ会社や取引先に出向し、転籍に至る。他社から役員などとしてハンティングされることもあるが、中堅・大企業が高待遇で受け入れる時代はすでに終わっている。

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【銀行・保険・証券】業界年齢構成、平均年収

「企業自体の自己資本が強化され、以前に比べると資金需要が減っている。銀行員を受け入れることをかつてほど強く求めているわけではなく、40~50代を中心に余剰人員が生まれやすい。一方で、かねてから40代以上になると、辞めていかざるをえない宿命がある。50代半ばぐらいまで勤務できる人は、同期の中でごく少数」(金融ヘッドハンターの田頭信博氏)

メガバンクは、これまでは人件費の負担になるベースアップ実施に慎重だった。だが、13年11月、金融庁がメガバンクや証券業界に対して、賃上げを要請したこともあり、今年の春闘では賃上げの動きが波及した。証券業界は、「アベノミクス」による株高の恩恵をもっとも受けた業界の一つであり、野村証券と大和証券グループ本社などがベアの方針を決めた。

銀行や証券業界は好景気に浮かれる余裕はない。大胆な改革ができるかどうかが問われている。

(ライヴ・アート=図版作成)
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