秘書たちは、バターがどちらにあるか知っている

女性上司は概して、アシスタントは男性上司の仕事を女性上司の仕事より優先させるとも感じている。私がインタビューしたある科学者は「事務スタッフは女性上司から頼まれた仕事は男性上司からの仕事より時間をかける」と指摘。別の科学者は一緒に働いている事務アシスタントとの会話を思い出しながら「彼らは、上司の要求が厳しすぎると言うのよ」と言った。それに対して彼女は、「前の男性上司も同じくらい要求が厳しかったはずよ」と応じていた。アシスタントたちの反応は「ええ、でもそれはまた別です」。

もう一度言うが、秘書たちはバターがどちら側にあるかを知っている。そして、私がインタビューした女性科学者たちは、概して自分は同等の地位の男性より無力だと感じていた。

ジェンダー力学は決して単純ではない。ギャラップ調査はいつまでたっても変わらない現実を裏付けた。人々は女性リーダーをかつてより受け入れるようになっている。意識の変化という点でコップは半分満たされた状態だ。女性に対する従来の固定観念を捨て去りつつあり、人を人として遇する可能性が高くなっている。だが一方で、コップは明らかに、腹立たしいほどいつまでも半分空のままなのだ。

(ディプロマット=翻訳 Getty Images=写真)
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