【04】暦年課税VS相続時精算課税:住宅資金の援助ならどちらがトクか?

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親から住宅取得資金をもらったときの非課税枠

親から住宅資金の援助を受けるのであれば、特例などをしっかり理解したい。

まず、「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」という特例がある。これは、両親や祖父母などから住宅購入資金の援助を受けた場合、一定の条件を満たせば贈与税が非課税になるという制度だ。13年に贈与を受けた場合で、最大1200万円が非課税になる(図参照)。

では、これを超える金額の贈与を受けたケースではどうなるのか。原則、贈与税の対象となるが、その際には、暦年課税か相続時精算課税か、どちらかを選択できる。

どちらが有利かは相続が発生した際に、相続税の対象となるかどうかで変わる。対象となりそうなら暦年課税、対象とならないなら相続時精算課税が有利になる。

【05】教育資金の贈与はもともと非課税!:「一括贈与の非課税」は効果があるのか?

2013年4月からスタートした「教育資金の一括贈与時の非課税」制度をご存じだろうか。これは、祖父母から孫などに最大1500万円の教育資金を非課税で贈与できる制度だ。

実はこの制度には、大きな誤解が生じやすい。そもそも、孫の入学金や授業料に必要な額をその都度贈与するなら、これまでも非課税だったからだ。新制度のメリットは、将来使うであろう教育資金をまとめて贈与しても贈与税がかからないという点だ。亡くなる直前に実行しても非課税にできる。

孫の自立を妨げないためには、毎年、祖父母に感謝しながら贈与を受けるほうがよい面もある。

税理士 天野 隆(あまの・たかし)
税理士法人レガシィ代表社員税理士。公認会計士、税理士。相続に特化したコンサルティングを手がける。近著に『親に何かあっても心配ない遺言の話』『大増税でもあわてない相続・贈与の話』(ともにソフトバンク新書)など。
(構成=向山 勇)
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