スマホラジオで「いつでも、どこでも」

TuneIn ビジネス開発ディレクター 
アジア・パシフィックエリア担当 
信川訓卓氏
――日本における現在の事業展開について聞きたい。

【信川】まずはTuneInで日本のすべてのラジオ局の番組を国内のどこでも無料で聴けるようにしたい。ただ、それには地上波ラジオ放送には「エリア制限」があり、そのため、関西の番組は関東では聴くことができない。同じことがインターネットラジオにも当てはまる。民放の多くが加盟しているインターネットラジオ「Radiko」の場合、無料で聴く場合には地上波ラジオ放送と同じ「エリア制限」 を設けている。例えば関東圏では大阪のラジオ局が聴けなく、聴けるのはTBS、文化放送、ニッポン放送など13局に限られる。

しかし、グローバル化した世界では人の往来も激しく、国内のみならず旅行や出張、留学なども増えている。そうなると、ラジオに対して“いつでも、どこでも”が一層求められるはずだ。インターネットラジオは無料で エリア制限もなく、日本のみならず世界各地のさまざまな生のラジオ放送を楽しむことをリスナーに提供できる素晴らしいメディアである。

ただ、残念なことに日本ではラジオ業界は低迷している。情報を得るためのメディアとしての役割がラジオからテレビやインターネットにシフトしたことも大きな要因だが、スマートフォン世代を上手く取り込めていないのも事実である。若者はラジオを持っていない。日本の20代未満の若者で、週1回でもラジオを聴いているという人は1%しかいないとの報告がある。早く、エリア制限がなく無料で楽しめるインターネットラジオ放送を積極的に取り入れて起死回生の手を打たないと、ラジオの地盤沈下は避けられないだろう。TuneInはラジオ局が情報提供メディアとして新生する為の、そしてスマートフォン世代を取り込む為のSNS機能を強化したアプリを今年の5月に導入している。そして、ラジオ局にはこの新しい機能を積極的に利用してもらい、TuneInと一緒になってラジオ業界を盛り上げて欲しい。