全世界のラジオ番組が聴ける!
インターネットでラジオ放送を楽しむ人が増えている。斜陽産業といわれたラジオ放送だが、これまでのように専用のラジオ機器が不要、音質がクリア、SNS(ソーシャルネットワークサービス)と連携できるようになり、再び脚光を浴びている。この新しいトレンドを仕掛ける企業の一つが、米国カリフォルニア州に本社を置くTuneInだ。専用のアプリを使い、世界各国のラジオを聴くことができる。日本でもスマートフォン(スマホ)の普及が、同サービスの拡大を加速させている。国内にも約90万人のユーザーがおり、TuneInでは、年内の東京支社開設も視野に入れているという。そこで、「ラジオ業界に革命を起こしたい」と語る同社のビジネス開発ディレクターでアジア・パシフィックエリアを担当する信川訓卓氏にインターネットラジオの現状と今後の経営戦略を聞いた。
――そもそも、「インターネットラジオ」とは、どのような仕組みなのか。
【信川】世界各国のラジオ局の番組をインターネットで経由して聴くことができる。当社のシステムは、全世界230カ国、10万放送局をデータベース化している。専用のアプリを端末にダウンロードし、URLにアクセスしてリアルタイムで聴けるようになっている。アプリを起動すると、ラジオのミュージックやスポーツ、ニュースといったジャンル別の一覧が表示され、そこから聴きたいラジオ局を選び、そのライブ放送を無料で聴ける。ラジオを聴いているときは、スマホ画面でアーチスト名や写真および曲名も確認できる。
TuneInは、2002年にアメリカでサービスを開始した。最初の10年間は、CNN、CBSラジオのような大手ラジオも含めてパソコン上で展開していたが、これではリスナーの獲得に限界があった。だが、常にユーザーが持ち歩くスマホに搭載されるようになってから急速にリスナーが拡大した。当社の場合も利用者の8割がタブレットを含むスマホ経由で、現在、月間5000万人ぐらいのユーザーが聴いている。スマホがメインですが、その他のデバイスとしては、テレビやゲーム機といった各種AV家電、ドライブ中のラジオ聴取もニーズが高いことからカーオーディオシステムなどにも対応している。