収益を上げて“ラジオの復権”へ

――そこから収益を上げていくビジネスモデルと考えていいか。

【信川】最終的には広告事業で利益を確保していくことになる。ただし、いまはリスナーの数とラジオ局を増やすことに専念している。

アメリカでは広告営業部隊があり、いまはバナー広告、リスニングがはじまる前のバナー広告と連動した音声広告を流すといった形式だ。当然、それにはラジオ局とリスナーの数を増やす必要がある。数年のうちに世界中でTuneInのリスナー数を1億人まで持っていきたい。

TuneInはどこでも聴ける。そこで将来的には、インストリームと呼ばれている広告の置き換えを行う。例えば、大阪で聴いている人に仙台のリスナーを対象にした広告では効果がない。しかし、我々が持っているユーザーのデバイスIDやGPS、アクセスしたラジオ局などのデータを分析すれば、聴いているリスナーをターゲットにした広告を打つ「ターゲティング広告」が可能になる。利益を上げた場合には、ラジオ局とレベニューシェアするモデルを考えている。

――インターネットの特性を生かした事業展開が可能だ。

【信川】その意味では、双方向性がシナジー効果を発揮すると考えている。TuneInが5月に導入した機能の一つに「エコー」というツイッター的な機能がある。この機能を使ってラジオ局は番組の情報を発信することができる。そしてこの局をフォローしているリスナーがその情報を友人達に再「エコー」すれば、リスナー数を増やす絶好の機会ができる。例えば、自慢の良い番組を提供はしているものの、どうしてもリスナー数が増えないと悩んでいるコミュニティラジオ局も「エコー」機能をフルに活用すれば、多くのリスナーに聴いてもらえる可能性が増すことができる。

いずれにしても、TuneInはラジオ業界と一緒になってエリア制限のない、無料で聴けるインターネットラジオの普及を促進し、“ラジオの復権”につながる応援をして行く。そうなれば、ユニークなラジオ局も、有能なタレントも、面白い番組も登場してくる。当然、リスナーが増加し、広告媒体としての価値を高めることになるので、ラジオ業界全体が活性化する。現在は、まさにその入り口にいると考えている。

(尾崎三朗=撮影)
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