言語の発達の遅れ、親子の会話がなくなる

一般社団法人日本小児科医会は昨年12月、文字通りそう呼びかけるポスター(http://jpa.umin.jp/download/update/sumaho.pdf)5万枚を全国の医院や保育園などに配った。ポスターでは、子育てアプリが赤ちゃんの育ちをゆがめる可能性や、親子ともにメディア機器漬けになって相互の会話や体験を共有する時間が奪われるおそれなどが指摘されている。

同医会の「子どもとメディア」対策委員の一人である小児科かずえキッズクリニック(渋谷区)の川上一恵院長はこう語っている。

「生後8カ月ほどの乳児でもタブレットを与えると、すぐに指で画面を動かすことを覚えます。しかし、そればかり与えていると、本をめくる動作もできなくなり、紙の雑誌で同じような操作ができないのでかんしゃくを起こします。スマホやタブレットばかり見ていると、子どもの目は近視になりやすく、言語発達も遅れ、親子で会話をしなくなったり、親と目を合わせなったりするといった弊害も出ています。しかし、1週間、テレビを含めてメディア機器から遠ざけると回復し、笑顔も出て、親と関わり合いを持つようになるのです。だから、親がスマホを使うなとはいいませんが、子どもに勝手に使わせて、スマホ漬けにすることは避けるべきだと思います」

同院長は渋谷区の小学校の校医も務め、10年以上前からメディアが子どもに悪影響を与えないように指導をしてきた。その小学校の保護者に対して2013年7月にアンケート調査を行ったところ、スマホを持つ親は6割以上おり、その大半が子ども向けアプリを使っていた。