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1日の労働時間は増え続けている!

裁量労働制でもう一つ重要なポイントは、たとえば労働時間を9時間に設定すると毎日、法定労働時間を1時間上回って残業しているとみなし、時間外割増賃金を支払わなければいけないことです。

すなわち、裁量労働制は時間にとらわれた働き方になっている部分があるわけです。しかも現行の裁量労働制は手続きが煩雑で利用度が低いという問題があります。

一方の管理監督者の適用除外とは、管理監督者は労働時間や休憩、休日の規定が適用されないというものです。つまり、管理監督者は基本的に労働時間の枠組みが外されており、時間外労働や休日出勤をしても割増賃金は支払われません。ただし、深夜労働に関しては管理監督者でも適用を受けます。

そこで規制改革会議では、現在の管理監督者の適用除外よりも広範な適用除外制度を提案しました。この提案では適用除外の対象者となる範囲の目安を国が示したうえで、基本的に各企業の集団的な労使自治に委ね、割増賃金は深夜を含めて適用しないという非常に柔軟性の高い制度になっています。

しかし、このような労働時間管理制度を導入すると、別の問題が発生する可能性があります。

なかでも懸念が強いのが長時間労働の問題です。日本ではフルタイム労働者の総実労働時間は過去20年ほど変わっておらず、長時間労働は大きな社会問題であり続けています。