長時間労働の最大の問題は健康
なぜ問題か。それは、労働者の健康が損なわれてしまうからです。
「私は好きで働いているのだから構わない」「誰よりも早く出世したいから毎日残業しているんだ」といったワーカホリックな人も中にはいます。しかし、その人たちは自分自身の健康のことをきちんと考えられているとはいえません。
したがって、長時間労働を防ぎ労働者の健康を確保するには規制が必要です。私が座長を務める規制改革会議・雇用ワーキンググループでは、一律の労働時間管理になじまない労働者に合った新制度の創設とともに、労働時間の量的上限規制と強制的な休暇取得をセットにした三位一体の改革を提案しています。
一方で「残業代ゼロ」批判に代表されるように、労働時間と賃金を切り離そうとすれば、これまでの賃金水準が確保されるのかという懸念が労働者から出てきます。
新しい労働時間制度を導入して残業代が支払われなくなり、収入が極端に減ってしまうような形になれば「単に給料を引き下げるためだけの制度ではないか」との批判を受けることになるでしょう。
そこで重要になってくるのが、適正な処遇の確保です。
いま残業をして遂行している業務の価値や意味合いを適切に評価し、残業代としては支払われないがきちんと配慮された処遇体系になっていれば、労働者の納得感は得られると思います。ただ、難しいのは働き方を「時間ではなく成果で評価」する方法です。