1986年の創設から長らく住宅購入者の強い味方だった「住宅ローン控除」。実はこの10年ほどの間にどんどん縮小、2008年末を最後に姿を消す予定だった。ところが最近の景気悪化を受けてにわかに拡大論が浮上、「過去最大規模に」との声が上がっている。決定は09年1月以降にずれ込む見込みだが、継続はまず間違いないと見てよさそうだ。

2008年居住の控除額は10年で最高160万円/住宅ローン控除の要件(2008年)

2008年居住の控除額は10年で最高160万円/住宅ローン控除の要件(2008年)

拡大となった場合、これまでの例にならえば、変わりそうなのは年末借入金残高の最高限度額と控除期間。限度額が上がったからといって高額のローンを借りるわけにはいかないが、控除率と期間の関係がどうなるかは注目だ。たとえば2004年並みに控除率1%の期間が10年なら、年初に1000万円のローンを金利年1.9%、期間10年で組んだ場合、控除額は10年間で約47万円となる。住宅ローンを検討している人は、今後のニュースに注意しておこう。

なお、繰り上げ返済には注意が必要。「期間短縮型」の繰り上げ返済を行って当初からの返済期間が10年未満になると、控除が受けられなくなる。この場合は、返済期間を変えない「返済額軽減型」の方法を選ぶといいだろう。

(取材・文=有山典子)