毎日届くAIの中傷画像

攻撃は、ネット上でもつづいている。

X(旧ツイッター)で私の名前を検索すると、どんな中傷が届いているか、リアルタイムでわかる。

中心は、AIで生成した画像だ。私の姿に「私は日本の操り人形です」という文字を添えたもの。「楊海英の顔を見るだけで気分が悪い」と書き込んだもの。ほぼ毎日、1日に4〜5回は投稿される。

送り主は、フォロワーがゼロのアカウントばかり。人間ではなく、プログラムが自動で投稿しているのだろう。発信元はアメリカやチリと表示されるが、おそらく位置情報を偽装している。大半は中国からだと私は見ている。

ものすごく出来が悪い画像もある。合成に失敗し、私の顔がまったくの別人になっているのだ。質より量で押し切る手口だから、粗が出る。

AIが自動的にターゲットを攻撃する時代は、すでに始まっている。

スマートフォンを使用してる男性の手元
写真=iStock.com/MStudioImages
※写真はイメージです

現実は「VIVANT」より怖い

圧力は、私ひとりに向けられるのではない。

内モンゴルにいる私の親戚もマークされ、一時は拘束された。いまは釈放されたが、監視はつづいている。私が新聞や雑誌で発信すると、やめるよう促す連絡が親戚から届く。

ウイグル人やチベット人、モンゴル人の場合、親族や同級生、同じ村の住民まで捕らえられ、本人へ圧力をかけるように迫られる。日本で暮らす同胞の多くが口を閉ざすのも、無理はない。

それでも、日本はまだましなほうだ。

調査で中央アジアへ出かけるとき、私は居場所をメールでも明かさない。中央アジアは中国と陸つづきで、草原で誰かが連れ去られても、気づく者はいない。現地の治安当局が中国と手を組み、ターゲットの人物を拉致したと見られる例もある。中央アジアで中国に拉致される危険は、日本国内の監視とは比べものにならない。

日本で私の周りに現れたのは、劇中のシンシーのような悪党ではない。探偵会社の社員、半グレ、留学生。どこにでもいるような人々が、工作の手足となっている。

しかし、工作員を工作員として裁く法律が、日本にはない。

現実は「VIVANT」より怖い。私は身をもって知っている。

約30年にわたって、私は調査日誌をつけてきた。当局者の名前や車両のナンバーまで書き留めてある。名前やナンバーを公表するつもりはないが、日誌をもとにした新刊を予定している。

(構成=伊田欣司)

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