時代と権力に翻弄されたひとりの人間
もっとも身内だからこそ、あえて甥の“査定”に言及しなかった――と、いえるかもしれない。
秀次は後継者として期待され、関白の座にまでのぼり詰めた一方、その地位にふさわしい振る舞いをつねに求められる立場でもあった。秀吉との関係も単純な愛憎や対立だけでは語れない。
後世に広まった「殺生関白」という悪評の陰には、政権を支える一門の有力者として役割を果たしながら、時代の変化と権力者の思惑に翻弄された、ひとりの人間の姿を垣間見ることができる。
秀次の実像を見つめ直すのは、豊臣政権の後継者問題を改めて考えることにつながる。そのことを通じて今後、「豊臣」を主題に大河ドラマを制作する際、興味ある新たな秀次像を創出してもらえたら、と思う。
参考図書
・黒田基樹編著『戦国大名の新研究5』所収「羽柴秀次の関白職相続」小川雄(戎光祥出版、2026年)
・同所収「秀次の妻妾と子供たち」小川雄著(同上)
・同所収「『言経卿記』『兼見卿記』にみえる秀次」岸野達也著(同上)
・河内将芳著『図説 豊臣秀長 秀吉政権を支えた天下の柱石』(吉川弘文館、2025年)
検索時にプレジデントオンラインに関連する記事が表示されます


