千代は支える以前に、自分で稼いで動いていた

違う。頼母子講は宝くじではない。早く当たった者は、受け取った後も掛け金を払い続けなければならない。入会して間もない千代は、まだほとんど払っていなかった。つまり、当選した瞬間に、500万円を前借りしたのと同じなのだ。

しかし、千代はひるまない。ドラマでは家探しが始まるが、この千円で、札幌に一軒の家を買ったのである。夫を説得して。

中津井夫妻は足袋を13年穿き、蕨を干して1年食べる。そのすぐそばで、23歳の娘は、講の金で家を買ってきた。夫の給料に頼らず、自分で資金を作り、返済まで引き受けた。家計のCFOである。朝ドラの視聴者は「夫を健気に支える若妻」を見ているつもりかもしれないが、史実の千代は、支える以前に、自分で稼いで自分で動いていた。

その家で千代は、ついに筆を執る。「稼ぐ力」の次に待っているのは、作家・宇野千代の誕生である。ドラマは、その場面をどう描くのか。注目したい。

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