可愛い2人の後輩の邪魔はしたくない
ジャイアンツの一員になって、松井秀喜氏が住んでいるニューヨークにある球団事務所で働く予定だった筆者は、旧知の読売新聞幹部からこう言われたのを今でもはっきり覚えている。
「春川のジャイアンツでのミッションは分かっているよな。松井秀喜をジャイアンツの監督に連れてきてくれ」
何年後になるか分からないが、ジャイアンツの監督になる松井氏と共に日本に帰国して一緒にジャイアンツで働く夢を勝手に持っていた筆者にとって、松井監督実現はドラマのワンシーンを見ているような感じがする。
なぜ筆者が「次期監督は松井秀喜しかいない」と5カ月前に書いたのか。そのヒントは、これまで見聞きしてきた松井氏の言動にあった。
かつて、松井氏が「将来、ジャイアンツの監督にならないのですか?」と問われた時、こう答えたという話を聞いた。
「たいへんありがたいお話ですが、私は可愛い2人の後輩の邪魔はしたくないのです。2人はいずれジャイアンツの監督になる時があるでしょうから、そのタイミングを私が邪魔をしたくないのです」
巨人以外のユニフォームを着るつもりはない
可愛い2人の後輩とは、かつてジャイアンツの監督を務めた高橋由伸氏と阿部慎之助氏だという。高橋氏は監督を経験したが志半ばで辞任し、阿部氏は今年5月、長女への暴行の疑いで警視庁に逮捕されたことを受け監督を辞任した。
プロ野球の現職監督が逮捕されるという事態は前代未聞で、ファンの支えがあってこその人気商売を営む球団にとっては緊急事態だ。この危機を救えるのは松井氏しかいなかったのだ。松井監督招聘の理由を問われた山口オーナーの答えは明確だった。
「今季、ジャイアンツは色々なことがありまして、ジャイアンツにとっては一つの危機であった年だったと思っております。そこを力強く乗り越えて、強いジャイアンツにしていくには松井監督にお願いするしかないと思って要請をしたという次第です」(山口オーナー)
ある時、松井氏がポロッと言った言葉が頭から離れない。
「実はこれまでもジャイアンツ以外の球団から監督のオファーをいただいたこともありましたが、お断りしました。生涯、ジャイアンツ以外のユニフォームを着るつもりはありません」
松井氏がいずれジャイアンツの監督になるのではという考えが確信に変わったのは、昨年、長嶋茂雄元監督が亡くなった時だ。
アメリカから駆け付けた松井氏は「長嶋さんと生前に約束したこともあります」という話をした。「約束」の中身については明らかにしていないが、将来、ジャイアンツの監督になることではないかという声が当時も多く聞かれた。

