そのダイエットは本当に必要か

米国の糖尿病でない医療従事者を追跡し、食事制限や運動などの減量方法と、その後の糖尿病発症との関連を調べた研究で、次のような結果が出ています[7]。

肥満体格の人(米国ではBMI30以上を「肥満」とします)では減量と糖尿病発症リスクの低下に関連が見られたものの、過体重体格(米国ではBMI25以上30未満は肥満とは呼ばず「過体重」と呼びます)では同じような関連は一貫して見られませんでした。そして、通常体格もしくは「やせ」体格(BMI25未満)では、減量後の糖尿病発症リスクが高い傾向が見られました。

やせも糖尿病発症と関わり、肥満でない人(普通体格ややせの人)の減量には注意が必要です。ただし、この研究だけで、カロリー制限が糖尿病の原因になると断定はできません。やせているからといって、糖尿病になりにくいわけではない――この事実に驚く人も多いことでしょう。さらに、特筆すべきことに、この点において、日本人の女性は先進国のトップランナーになってしまっています。

1990年代から2020年代にかけての30年間で、世界各国での体格の変化を検討したという論文があります[8]。これを見ると、飢餓に苛まれている例外的な国々を除くと、ほぼすべての国でやせが減り、肥満が著増しています。

大きなジーンズ
写真=iStock.com/Panuwat Dangsungnoen
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やせた女性が増えたG7唯一の国

G7に数えられる先進7カ国(日本、米国、英国、ドイツ、フランス、イタリア、カナダ)も基本的に例外ではなく、1カ国を除き、やせが減って肥満が著増しています。その、例外の1カ国――それが我が国、日本です。

日本では、女性はやせが著明に増加していたのです(男性はわずかに肥満が増加し、わずかにやせが減っているので、必ずしも世界の例外とは言えません)。おそらくは、日本の女性の美意識の高さがこうした傾向を生んでいるものと思われますが、やせや、肥満でない人の減量には、糖尿病発症との関連が報告されています。

我が国においては男女ともに糖尿病患者数が増加していることが知られています。ことによると女性においては、やせが糖尿病を増加させているのかもしれないと、私は危機感をもっています。日本における女性のやせの増加が、実は糖尿病のみならず、女性の様々な健康障害につながっていることに警鐘が鳴らされています。