肥満を解消しても安心できない

生活習慣病が連鎖して進むという考え方に、「メタボリックドミノ」があります。

2005年に提唱された古いタイプのメタボリックドミノの概念では、「2型糖尿病」や「血糖値異常」はドミノ倒しの途中で倒れる1つの駒であり、高血圧や高脂血症とほぼ同時期に倒れることになっていました。そして、そのドミノ倒しの最上流には「カロリーの過剰摂取(食べすぎ、運動不足)」や「肥満(内臓脂肪の蓄積)」があると考えられていました。

現在も、特定健診判定やメタボリックシンドロームの診断基準において、腹囲の異常が必須項目とされているのは、この、旧来の古いメタボリックドミノでは、内臓脂肪の蓄積が“全ての根っこ”と考えられていたからなのです。そして現在でも、そう認識し続けている医師の先生方も多くいらっしゃいます。しかし、その後の20年間で、最新の知見は大きく更新されました。

肥満を伴う2型糖尿病の人が肥満を改善させても、ドミノ倒しの途中にあるはずの高血糖の改善は保証されず[2]、また、1度改善できても高血糖の改善が長期に維持されるとは限らず[3]、ドミノ倒しの最下流にある心臓病への予防効果は確認されませんでした[4]。

糖尿病リスクが最も高い「体型」

私は、ドミノ倒しの最上流にあるのはカロリーの過剰摂取や肥満ではなく、「糖質の過剰摂取」であり、「食後高血糖(食後に血糖値が高くなること)」だと考えています。2018年に提唱された糖質とインスリンに着目する考え方[5]で、物事を考えるべきであると、私は様々な場面でお伝えしてきました。

そして、日本人を追跡したある研究では、体格と糖尿病との関係性について、男女ともに「やせ」の人で発症リスクが最も高いという結果が示されています[6]。もちろん従来の概念どおり、肥満も糖尿病を発症しやすいのですが、糖尿病を発症しやすい順番は、1番がやせ→次が肥満→最後が普通、という順だったのです。

この場合の、日本での「やせ」の基準はBMI(体格指数)が18.5未満をいいます(BMI=体重〈kg〉÷身長(m)÷身長〈m〉で求めます。BMIが25以上が肥満、18.5以上25未満を普通体格とします)。同様のことが米国でも示されているようです。