メンバーの“今の姿”ではなく“過去”を聞く
管理職になったばかりの頃、私は目の前の仕事ぶりだけでメンバーを判断していました。
私「この仕事はこう進めてほしい」
メンバー「はい、わかりました」
一見、問題はありません。しかし、しばらくすると違和感が出てきます。
・同じ指示でも人によって反応や進め方が違う
・人によって意図がうまく伝わらない
「なぜ同じように伝えているのにうまくいかないのか?」と感じる場面が増えていきました。
今なら、その理由がわかります。当時の私は、メンバーの“今の姿”だけを見て判断していたのです。そこで、関わり方を変えてみました。
私「これまでどんな仕事をしてきた?」
メンバー「前は○○を担当していました」
このように、少しずつ「過去」のことを聞くようにしたのです。すると、見え方が変わってきます。
・過去の経験によって得意・不得意がある
・成功体験によって行動パターンができている
・過去のやり方を基準に判断している
今の行動には、その人なりの理由があったわけです。
正直に言うと、最初はそこまで考えていませんでした。「やり方が違う」と感じたとき、その人の背景までは見ようとしていなかったのです。
しかし、ここを見ないまま進めると、メンバーを理解することはできません。まずは、これまでの経験を知ること。そこから関係が変わり始めます。
メンバーとの関係を変える「すり合わせ」
もちろん、メンバーの過去の経験を把握したうえで新しい仕事の進め方の指示をしたとしても、常にうまくいくわけではありません。たとえば、それでもメンバーが過去のやり方に固執しているような場合です。そんなとき、私は次のように会話を進めました。
私「このやり方、どう思った?」
メンバー「前のやり方のほうがやりやすいです」
私「なぜそう感じるの?」
メンバー「以前のやり方でうまくいっていたからです」
繰り返しになりますが、人はこれまでの経験をもとに、無意識に判断や行動を選んでいます。一度うまくいったやり方は、次も正しいと感じやすくなるのですね。こうしたケースでは、私はさらに会話を掘り下げていくようにしました。
私「そのやり方のどこがよかった?」
メンバー「判断がしやすかった点です」
ここまでメンバーの本音が出てきたら、あとはすり合わせをするだけです。
私「そのよさを残しながら変えられそう?」
メンバー「それならできそうです」
一方的に変えるのではなく、過去と今をつなぐ形にする――。こうしたすり合わせが、メンバーとの関係を変えていきます。そして、メンバーも納得して仕事に取り組んでくれることにもつながるのです。
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