相手との関係性を深めるには何をするといいか。プロフェッショナルコーチの村橋卓也さんは「問いを具体的にすると、自然と相手から言葉が出てくる。しかし、本当に大事なのはその先にある」という――。
※本稿は、村橋卓也『[実践]管理職1年目』(大和出版)の一部を再編集したものです。
メンバーは本音を話すきっかけを待っている
管理職になったばかりの頃、私は「まずはしっかりメンバーを見極めよう」と考えていました。不用意なことを言わずに、距離をとりながら様子を見るような関わり方です。
私「まずは状況を把握したいと思います」
メンバー「はい、よろしくお願いします」
表面的には問題ありませんでした。しかし、時間がたつと違和感が出てきます。
・会話が広がらない
・本音が出てこない
・相談になかなか来ない
「関係が悪いわけではないのに、なかなか打ち解けられない」そんな感覚が続きました。実はここが難しいところなのですが、メンバーに対して不必要に話しかけないことが、逆に距離をつくっていたのです。
あるとき、関わり方を変えて、自分の失敗や迷いを少しだけ話してみました。
私「実は私も、最初の頃はうまくいかなかった経験があって……」
メンバー「そうなんですね。自分も似たようなことがあって……」
この体験から、信頼は「正しさ」ではなく、「どれだけ深く開示し合えたか?」で決まる部分があるということがわかったのです。自分から開示しないかぎり、相手が開示することはありません。最初に必要なのは、安心して話せるきっかけでした。
そして、自分からそんなきっかけをつくることでしか、関係は変わらないのです。ちょっとしたことではありますが、その小さな一歩が、後の大きな違いにつながります。

