トランプの言動はすべて計算されている?
日本にとって、これは対岸の火事ではない。
私たち日本人は、米国の大統領が不可解な行動を取ると、それを高度な外交戦略や交渉術として読み解こうとしがちだ。とりわけ「ディール」の達人を自任するトランプについては、あらゆる言動に計算が隠されていると考える人が少なくない。
だが、ある行動を動機で説明できることと、その行動が合理的であることは別問題だ。合理的な意図があっても、結果が合理的になるとは限らない。指導者の能力は、派手な演出や威勢のいい発言ではなく、実際に生み出した成果によって測られるべきである。
「それは違う」と指摘できるのが同盟国
そして、米国の判断の代償は同盟国が払うことになりかねない。米国が目先の経済的利益のために中国と妥協すれば、台湾の安全保障はどうなるか。国内の燃料価格を抑えるためにロシアへの圧力を緩めれば、ウクライナおよび欧州との関係はどうなるか。イラン戦争で米軍の資源が中東に拘束され続ければ、台湾や日本を含む西太平洋の抑止力はどうなるか。
日本は、米国の政策が常に長期戦略に基づいているという思い込みを捨てなければならない。米国の指導者が国内政治の都合で判断を誤る可能性を、自らの国家戦略に組み込む必要がある。
これは反米ではない。日米同盟が重要だからこそ、米国の判断を無条件に正しいと見なしてはならないのである。真に信頼される同盟国とは、自らの分析と判断に基づき、必要とあれば相手の誤りを指摘できる国だ。
トランプの奇妙な言動には、特定の目的に合致した、一定のパターンがあると思われる。しかし、それは合理性の証明ではない。短期の政治的利益のために長期の国家戦略が損なわれるなら、その代償は一度の選挙の勝敗をはるかに超える。
日本が直視すべきは、その現実である。
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