批判が強いイラン戦争では「二枚舌」
共和党が議会の勢力を維持できるかどうかは、残る任期の政権運営を大きく左右する。そのトランプにとって深刻な問題が、イラン戦争の長期化と、それに伴うエネルギー価格の上昇である。
10月8日に公表されたピュー・リサーチ・センターの世論調査によれば、トランプの対イラン軍事行動への対応を支持する米国民は33%にとどまり、不支持は65%に達した。共和党支持層でも、支持は3月の69%から10月の63%に低下している。戦争への不満は、反トランプ派だけのものではない。
トランプは同じ10月8日、中間選挙が終わるまではイランへの新たな攻撃を行わないと表明した。ところがその直前、国防総省が中央軍に対し、イランへの大規模軍事作戦再開の準備を完了するよう指示していたと報じられている。
選挙前に戦線を広げて燃料価格を押し上げる事態は避けたい。だが、選挙後の軍事的選択肢は手放したくない。その計算が透けて見える。
イランと手を組むロシアに頼る始末
そして、燃料価格を下げるためにトランプが頼った相手は、ロシアのプーチン大統領だった。
10月9日、トランプはプーチンとの協議を経て、ロシアが米国および世界市場に大量の軽油を供給すると発表した。直ちに30万トン以上、11月に50万トン、その後さらに100万トン。追加分を含めると、総量は最大480万トンを超える構想である。
ロシアはウクライナ侵攻を続けているだけでなく、イランとも軍事・外交面で協力している。そのロシアから燃料を調達するために、米国はロシア産燃料への制裁を部分的に緩和した。イランに軍事的圧力をかけながら、そのイランと手を組むロシアに経済的利益を与えているのである。
ロシアのエネルギー収入を絞り、ウクライナ侵攻の継戦能力を削ぐというこれまでの政策との整合性は、どうなるのか。
そもそも燃料価格を押し上げたのは、トランプ自身が進めるイラン戦争である。自ら生んだ問題を解決するために、別の国家戦略を後退させる。短期の対症療法が、次の問題を生む構造がここにある。

