派手に出迎えた習近平から得たもの

同じ構図は、9月24日の米中首脳会談にも見える。

トランプは習近平国家主席を国賓として迎え、B-2爆撃機とF-22戦闘機による飛行、豪華な晩餐会で歓待した。中国を最大の戦略的競争相手と位置づける国としては、異例の厚遇である。

2026年9月25日、トランプ大統領とファーストレディは、習近平国家主席と彭麗媛夫人を公式の歓迎式典で迎えた
2026年9月25日、トランプ大統領とファーストレディは、習近平国家主席と彭麗媛夫人を公式の歓迎式典で迎えた(写真=ホワイトハウス公式写真、撮影:アンドレア・ハンクス/PD-USGov-POTUS)

問題は、何を得たかだ。ホワイトハウスが公表した成果は、貿易・投資の政府間枠組みの具体化、関税や農産物をめぐる協議、フェンタニル関連物質の規制協力、そしてジャイアントパンダ2頭の貸与である。

その多くは従来の協議の延長線上にあり、中国企業による大型の新規投資が目玉として示されたわけでもない。ロイター通信によれば、習近平は企業経営者の代表団すら伴わずに訪米した。

演出は華やかだったが、中間選挙に向けた経済的成果としては乏しい。まして、中国の軍事的台頭にどう対処し、台湾海峡の安定をどう守るかという長期戦略は、歓迎行事では一歩も前進しない。外交の演出と国益を混同してはならない。

熱心な支持者は喜び、国民は離れていく

では、トランプの奇妙な発言は、中間選挙の勝利に役立っているのか。

オンタリオ湖の改称について、ロイター/イプソスの世論調査では、賛成は14%にとどまり、反対は63%に達した。10月19日公表の最新支持率は31%と、在任中の過去最低を更新している。

熱心な支持者には受けても、一般国民の支持は得ていない。「トランプ海」も芝刈り機も同じだ。支持者が集まる集会の歓声は、世論の指標にはならない。

ここに、トランプの行動を分析するうえで決定的な区別がある。一貫性と合理性は違うのである。

中間選挙での勝利を最優先するという行動原理には、一貫性がある。だが、その行動が勝利につながるとは限らない。熱心なMAGA支持者を喜ばせることと、無党派層や穏健な共和党支持者を取り込むことは、まったく別の課題だからだ。目先の利益を追うことが、その目先の利益すら損なう。

これは政治に限った話ではない。米国の企業経営でも、同じ構造の失敗が繰り返されてきた。