社交の場で嫌われる米国版「学歴厨」

「8 seconds Harvard」という言葉が流行ったことがありました。ハーバード大学(※2)の卒業生の多くが、自己紹介の8秒以内に「I went to Harvard!(ハーバードを出てるんだ!)」と自慢げに言うことを揶揄したものです。ハーバード大学卒業というのは誇るべき実績ですが、早い段階で学歴を売り込むような話をすると、相手からは「それで?」「自慢?」と思われてしまいます。

ハーバード大学
写真=iStock.com/APCortizasJr
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社交の場で求められるのは、相手と対等な関係を築こうとする距離の取り方と空気の読み方で、自分を見せつける必要はありません。たとえ高い学歴や良い肩書きがあっても、ひけらかさない賢明な態度のほうが好感をもってもらえます。自分のことを語るよりも、相手への関心を示すことから始めましょう。

また、仮に知識を語る必要があってもわかりやすい言葉を選び、講義調にならないように気をつけます。一方的に話し続けたり、専門的用語を並び立てることのないような話し方を意識します。

空気を「読む」力と「育てる」力

「空気を読む」というのが場の状況を察する力だとすれば、社交で必要なのは「空気を育てる」力です。何気ない一言で場の雰囲気をポジティブに変え、人々を笑顔にすることができるスキルは高く評価されます。

ある夕食会で天井の照明を落とし、小さなキャンドルを灯したことがありました。すると、有名な社交家が席につくなり言いました。

「この雰囲気、素晴らしいわね! キャンドルがいい会話を引き出してくれそう。それに薄暗いから、私のシミやシワも見えづらくなって助かるわ!」

彼女の率直でユーモアある発言に、テーブルを囲んだ参加者たちからは笑いがこぼれ、場の緊張がふっと解けていきました。ほんの一言二言でも、機転と自己開示によって心理的な距離は一気に縮みます。このキャンドル効果は話題となり、やがて他の大使館にも広がって静かなトレンドとなりました。

絶妙な発言をしてくれた社交家には感謝するばかりでしたが、これはまさに空気を育てることができたよい例です。「気づき上手」が「うまく言語化する」ことで、場づくりに大きく貢献してくれるのです。

※2:アメリカのマサチューセッツ州ケンブリッジにある世界的に有名な私立大学。1636年に創立。アメリカ最古の高等教育機関として知られ、国内外から優秀な学生や研究者が集まる。学問レベルが高いだけでなく、学生同士や卒業生とのネットワークが非常に強固であり、ビジネスや政治、社会活動での人脈形成の場としても価値が高いとされる。