なぜ拉致問題には真剣に向き合わないのか

ICCは、日本人拉致問題は同裁判所設立以前に発生した問題なので取り扱わないとしているが、その態度を改めさせることが最低限必要だ。日本人が所長であっても、当たり前のことが当たり前にできない組織に対し、日本政府からの支援は不要である。

また、台湾は国連非加盟のため、規程が定める「国連事務総長を寄託者とする加盟」という手続き自体に入れず、中国の政治的圧力でこの構造は今後も動かないだろう。

そのため、パレスチナが2009年に用いた規程12条3項の「特別受諾宣言」を、国家性未確定の実効支配地域にも明示的に開放し、正式加盟なしに自国領域内の事案についてのみ管轄権を受諾できる制度として明文化するべきだ。寄託者を国連事務総長から締約国総会議長に変更し、加盟審査を政治的な国家承認問題から切り離し、実効支配基準のみで判断する規定を新設するべきである。

もちろん上述のイスラエルの管轄権の主張とは衝突する主張であるが、国際社会は矛盾の塊なので、この件に米国が強く反発するとも思えない。

国際政治は「国益計算の積み重ね」である

赤根氏が日本政府、そして日本国民を頼りにするなら、最低限この程度のことはICC所長として進めるべきだ。このような措置を全く取ろうともせず、日本の同盟国をいたずらに刺激する行為をしただけなら、冷めた目で見られても当然だ。

私は日本のメディアがあまりに一面的な理屈を振り回すことをこれ以上見ていることができなかった。本稿では米国側の主張を正確に解説するとともに、ICCが本来やるべき2つの課題について提起した。日本の報道はあまりにもレベルが低い感情的な議論で嫌気が差すものばかりだ。メディアがトランプ政権の行動を「暴走」と形容したがるのは、同政権を批判する人々にとって「わかりやすい物語」になるからに過ぎない。

しかし国際政治とは、往々にして醜悪なまでに一貫した国益計算の積み重ねでできている。今回のICC制裁もまた、その延長線上の出来事として冷静に読み解く必要がある。そして、ICCと赤根所長は米国をいたずらに刺激する前に、本来やるべきことをやるべきだ。

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