習近平「公金の浪費だ」
中央政府も、見栄えを優先する事業への締め付けを強めている。
中国国営通信社の新華社によると、中国共産党中央委員会は今年2月下旬から7月にかけ、全党員、とりわけ幹部を対象にした党内学習キャンペーンを実施。「政治的成果に対する認識」、つまり何をもって成功とみなすかの基準を正そうとした。見栄えを優先した事業や、地域に重い負担を残す開発を改めさせる狙いだ。
習近平国家主席はある重要会議の場で、貧困を脱したばかりの、あるいはなお貧困にあえぐ農村で壁の塗り替えに多額の資金が投じられる実態を挙げ、「人々を食べさせるわけでも着せるわけでもない」壁の塗装は、「無益であり公金の浪費だ」と厳しく批判した。
とはいえ、すでに建った施設が消えるわけではない。不動産不況の長期化で土地売却収入が激減し、地方政府は深刻な財政圧力にさらされている。
失敗したプロジェクトについては、転用も始まっている。独山県の高さ約100メートルの建築「水司楼」は、木造ながら24階建ての巨大建造物だ。コスト超過で工事が中断していたが、伝統建築のコンセプトから一転し、白と青の外装材で印象を刷新。2025年にリゾートホテルとして開業した。
「歴史ある街」から「歴史」が消えていく
今年7月中旬、大庸古城は大規模な改修を経て、再び門を開いた。当局は最初の3日間で15万人以上が訪れたと発表している。
にぎわいを取り戻したかにも見えるが、過去数年単位で見れば厳しい数字が並ぶ。サウスチャイナ・モーニングポストによると、運営する張家界旅游集団の年次報告では、同施設は2021年の試験運営開始から5年間で16億元(約380億円)を超える純損失を計上してきた。
再開の目玉は、湖南省の国有放送グループ、湖南広播電視台傘下の上場企業「芒果超媒(マンゴー・エクセレント・メディア)」が持つ人気番組の知的財産(IP)だ。明・清時代を模した街並みを生かし、バラエティー番組をテーマにしたライブショーなどで観光客を迎える。
観光サービス会社、北京トリップビビッド文化観光メディアの創業者兼会長、レオ・リウ氏は同紙の取材に、「マンゴーの人気IPは、開業直後に客足が伸びない問題を解き、若い層を呼び込む」と一定の評価を示す。
その上で、「大庸古城が地元のルーツから切り離されたありふれた娯楽地区になってはならない」とも語った。言葉とは裏腹に、当初の明・清時代の街並みを見せるというコンセプトを離れ、人気番組のIPに頼った娯楽施設へと変化しつつある。
再開発で人々の暮らしを壊し、本来あった歴史的街並みを捨ててまで生まれた、新たな「歴史ある街」。多くの犠牲を経て、後に残された成果は、役人が出世する道具として役立ったことくらいのものだ。
※[1元=24円、1ドル=160円]で計算
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