日本はスゴイのか、もうダメなのか
【高野】ビジネスもそうだと思いますが、探検は、本当に思い通りにならない。いえ、ぼくの旅では、基本的に想定外だらけです。「ルートを間違えたな」とか「なんでこんなところにきちゃったんだろう」としょっちゅう落ち込むわけです。そして落ち込みに耐える(笑)
ただ、それに耐えるだけではだめで、謎を解きたい、未知を知りたいという強い欲求があって、そこに向かって準備はもちろんするわけです。アクセルとブレーキじゃないですが、その両方がないと探検や旅は成り立たないし、面白くない。
未知の土地を楽しむには、ネガティブな心の逆風をなんとかやり過ごすのが大事なんです。
――やり過ごす方法はあるんですか?
メシを食って、酒を飲んで、寝る。それだけです(笑)。先ほども言いましたが、世の中には自分の力ではどうにもならないことがある。結局は現実を受け入れるしかないんですよね。
ちょっと話が大きくなりますが、最近、最先端から遅れた日本を「ダメになった」と悲観する人もいれば、逆に「本当はスゴい」って言う人もいますよね。でもどっちも意味がないと思うんですよ。
経済のトップはアメリカと中国で、科学技術で言えば、その2国に分野によって台湾や韓国、日本、西欧諸国が加わるくらい。常にトップ3に居続ける方が難しい。考えてみれば、世界には200近い国があるわけです。ある分野では1、2を争って、ほかの分野で10番目でも20番目で十分じゃないですか。
旅に出ることの大きな効用
以前から、ぼくは、日本は「世界の古都」として生きていくしかないと考えているんです。京都や奈良、鎌倉のようなものです。政治や経済、科学技術の中心からはどんどん遠ざかる。でも、歴史は作れないんですよ。だからもう唯一無二で、貴重なんです。
それに、日本には豊かな自然があります。ほかの国は、クルマで走っていても似たような景色が延々と続きますが、日本には高い山もあれば、海もある。大都市もあれば、古都もある。世界中を旅してきたぼくにとって、日本はテーマパークみたいに見えます。
実際、古都化した日本を世界中のツーリストが訪れているわけでしょう。オーバーツーリズムをどうするかという問題はあるにせよ、現実として、日本は世界の古都になっているわけですから。
――インバウンドとは逆に、円安や物価高などで日本から外へ出る人は減っています。
よくない傾向ですね。これが続くと、日本が世界のすべてのように思えてしまう。日本と海外という二つの視点でも足りないんですよ。世界には何十、何百もの価値観があります。それを実感できるのが、旅の面白さですし、ぼくが旅を続ける理由でもあります。
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